長谷川潔という創作版画作家とは付き合いが長い、もちろん物故作家だから本人は知らない。
作品のみの付き合いだ。1989年に美術販売の世界に何の因果か関わってきてから、色々な作品
と出会っている。一番は「時・静物画」
この作品は手彩色3点/モノクロ3点のサイン付きと 版上刷込サインのモノクロ1点と計6点の作品
を取り扱った。

3月30日開催の第93回 A.C.N. ART AUCTION TOKYOには
「アカリョムの前の草花[草花とアカリョム]」のマニエール・ノワールが出品される。
私どもでは初めての出品作品だ。

晩年のマニエール・ノワールを代表する作品である。晩年のマニェール・ノワール作品には
長谷川の晩年の人生観・自然に対する見方・考え方が濃く反映されている。
長谷川潔の全版画(魚津章夫著)によると長谷川自身がこの作品に対して「私は,
自身の庭や田野で摘み取った,色々な好む草花を花瓶に入れ,長方形のアカリョムの
傍に置いたとき(全く異なる如くおもわれる二つの世界)水中を泳ぐ魚と花瓶の草花とは、
微妙に融合し,あたかも花と胡蝶の関係にも等しく,魚は草中に入り,あるいは花より
魚が出現するかの観を与えた。草花は水を,水は魚を、魚は虫を,虫は草花を、と次々に
連想を進めると大自然のあらゆる存在物は一大円形を形成する。」と述べた。

長谷川潔の版画の魅力は、特に晩年のマニェール・ノワールの作品はその美しい摺りの
出来映えと共に長谷川の晩年の自然・静物にたいする考え方、まさに思想が感じられる
作品が多い事だ。

 

LOT192  長谷川 潔
アカリョムの前の草花[草花とアカリョム]
1969年 玲風書房353 マニエールノワール 26.4 × 35.4(版面寸)フルマージン ed. épreuves de artist サイン有
マージン左下に作家による画題/技法/年記有 マージン右下にエンボス印有 額有 画面のコンディションは良好
その他マット下マージンにうすい経年ヤケ有
1300/1600(千円)
ハンマープライス 1.450.000円で落札

SALE93 3月30日(木)開催
開催場所
東京 東日本橋 中央区立産業会館 2F展示室
東京都中央区東日本橋2-22-4
下見会 上記会場にて開催
2017年3月28日(火) 午前10:00〜午後6:00
2017年3月29日(水) 午前10:00〜午後7:00
2017年3月30日(木) 午前10:00〜正午

弊社が最も得意とする作家の一人で、今まで他社には出品されていない
珍しい作品も出品しております。

長谷川潔 代表作品

時 静物画
狐と葡萄
ポアンダンテロガシオン号(ニューヨーク上空を)第3ステート
幸福の小鳥 手彩色
アレキサンドル三世橋 マニエールノワール/デッサン
オパリンのある静物

長谷川潔(Kiyoshi,Hasegawa 1891〜1980)略歴

版画家。1891年横浜市生まれ。
東京の麻布(あざぶ)中学校を卒業後、黒田清輝(せいき)に素描を、岡田三郎助(さぶろうすけ)、藤島武二(たけじ)に油絵を学ぶ。
1913年(大正2)から文芸雑誌『仮面』の同人となって創作版画を発表。18年末アメリカへ出発し、翌春パリへ渡る。銅版画技法マニエール・ノワール(メゾチント)を復活させ、さらに独自の近代的表現を加える。
1926年サロン・ドートンヌ版画部会員(48年には絵画部会員)のほか、春陽会会員、日本版画協会創立会員となる。
1935年(昭和10)レジオン・ドヌール勲章、ついでパリ万国博覧会で金賞牌を受けた。
1964年フランス芸術院コレスポンダン会員、
1966年フランス文化勲章受章。
1980年京都国立近代美術館で大回顧展が開かれたが、同年12月13日パリの自宅で没した。