個人的に好きなアーチストを聞かれれば、一番に出てくるのは星襄一 という版画家である。
特に版画集「樹」に掲載されている樹木をモティーフにした木版作品は、
複数枚刷る版画ではあるが、一枚一枚に使われ、施された金箔の状態や原盤である
版木の状態で、版画の景色が微妙に変わり、
まるで1枚の版画がオリジナル作品のように思える版画だ。

木版/金箔 85 × 117

代表作は写真の「王の樹」彼の作品の中でも
最高傑作の1枚である。
星の「樹」シリーズの特長は日本古来の金・銀白の
使用と樹木の枝のが毛細血管のような細かい彫り
による表現である。

23年ほど前に初めてその作品を見たときの衝撃は
今でも忘れない。なんと美しく、きめ細やかな
作品なのだろうか。

 

1970年代に生み出されたこの樹木の作品は日本では無く
実は海外の人々に受け入れられ数多くの人々が
日本のお土産に購入していたのだ。
それらの作品を1990年代半ばに逆輸入した訳だ。


星襄一

(1913-1979)

大正2年(1913)新潟県に生まれる。台南師範卒業後、現地で教職に13年間たずさわり、
戦後は台湾より生地に帰還して孔版画を習う。昭和24年(1949)に日本版画協会展にて受賞。
昭和27年(1952)には日本版画協会の会員となって木版画を独習し、昭和34年(1959)国画会にて
国画賞を受賞する。その後も第2回、第3回、第4回の東京国際ビエンナーレ等に精力的に出品し、
昭和35年(1960)には国画会の会員となる。